活用例
[プレス金型の場合③] 破損した量産金型の現状修復
量産中に破損した金型の現状修復にspScanリバースエンジニアリングを活用した例をご紹介します。
量産金型の破損によるリスク
量産で使用しているプレス金型が破損した場合、早期に修復しないと製品が欠品するなど、生産計画に支障がでます。そのため、緊急の仮対策で金型を修復をすることが往々にしてあります。仮対策の修復では耐久性に課題があり、再度金型が破損するリスクも高く、安定的に作業するためには早急な金型の修復が必要になります。
現在は金型の修復などの際にはCAD、CAM、CAEを活用する場合が多くなっており、そうしたコンピュータ上の処理をするためには金型の3DCADデータが必要になります。しかし金型製作においては、現場の担当者の経験で手修正されている形状が金型CADデータへ反映されていないことが多く、また量産中の金型の摩耗、変形もあります。
このような場合、設計時に作成された金型の3DCADデータが存在しても量産中の金型とは形状が異なるため、そのままでは量産金型を修復するためのCADデータとして使用できません。そのため、仮対策で修復されている状態の金型から、修正用のCADデータを作成する必要があります。
破損金型の修復リバース
spScanを活用することで、上述のような修正用の金型CADデータを素早く用意することが可能です。
まずは緊急対策で修復された金型を非接触測定機で測定して、点群/STLデータを取得します。次にこの量産金型形状の測定点群と、初期設計段階のCADデータを使って、2つのデータの間の誤差を確認します。そして、修復が必要な箇所のみCAD面を作り替える手法「部分リバース」を行い、修正用のCADデータを作成します。
短期間で金型を修復し、再破損に備える
金型が破損した際の修復作業にspScanを活用することで下記のような効果がありました。
- 緊急対策された金型の修復用データを準備でき次第、量産の合間の短期間でも金型修復が可能になりました。
- 仮対策をしている破損金型の再破損のリスクを払拭できました。
- 現行形状を復元する際、型構造的に弱い箇所は、再破損の原因にならないように、リブ追加、形状肉厚の増肉など強度UPを施すように3DCADデータへ反映するなど、設計変更にも対応できるようになりました。
- 部分リバース手法の適応により、短時間でのリバースエンジニアリングが可能になりました。
tag : 金型リバース 点群データのCAD化