活用例
[プレス金型の場合②] 老朽した金型を復元する
長年使用している老朽金型の復元、製作にspScanリバースエンジニアリングを活用した例をご紹介します。
2D図面しかない製品の3D化
長い期間、同一部品の生産で使用しているプレス金型の場合、3DCADで設計されていないため、2D設計の金型図面はあっても、現在の金型の3DCADデータがありません。
部品の設計変更や金型の補修などが必要になった際、最近ではCAD、CAE、CAMを活用してコンピュータ上でデータを取り扱う場合が多くなっています。こうした場合には、現物の金型形状の3DCADデータ化が必要になります。
CADシステムによるリバースエンジニアリングの課題
3DCADデータがない金型の場合、現在の金型を非接触測定機で測定した点群/STLデータを3DCADに取り込んで、金型形状のCAD面化(リバースエンジニアリング)をしますが、3DCADは点群/STLデータからのリバースエンジニアリングを専門としたソフトウェアではないため、以下の課題があります。
- 測定データ(点群/STLデータ)の量が多く、すべてのデータをCADに取り込めない場合がある。
測定データ(点群/STLデータ)はデータサイズが大きいため、CADでは処理しきれないことがある。この場合は測定データに対して間引き、分割を行う、または測定データから断面線を作成するなどの前処理をしてからCADへ取り込まなければいけない。 - CADによる曲面作成の工数がかかる。
CADには測定データから曲面を作る機能がないため、測定データから作成した断面線情報などを使い、CADの機能を駆使しながら曲面作成をする必要がある。 - CADで作成した金型形状と実際の測定データとの誤差の保証が困難。
点群/STLデータを扱う際は、専用のソフトウェアを使用することで上述の課題を克服し、より効率的に作業できるようになります。
リバースエンジニアリングに特化した機能で、CAD面化工数を1/5に削減
「spScan」は、リバースエンジニアリング専用のソフトウェアです。
STLデータからのリバースモデリングを前提としているため、データサイズが大きくなりがちなSTLデータの取り込みも問題なく行うことが可能です。
曲面の作成についても、リバースエンジニアリングに特化した機能により、リバース工数を大幅に低減(例:CAD面化工数を1/5に削減)できます。
spScanによるリバースの操作例をご覧ください。
また、STLデータとの誤差を確認しながらCAD面化することで、現物に忠実なリバースモデリングが可能です。
実際の事例:老朽化したプレス金型を復元
下記画像は老朽金型の復元にリバースエンジニアリングを活用した事例です。
spScanで作成したリバースデータを利用することで、老朽金型を復元した新しい金型を製作し、現行品の量産に支障がない状態を準備できました。
tag : 金型リバース 点群データのCAD化