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活用例

「spGate」のカスタマイズで実現!マイクロプリズムアレイによる未来の道 -静岡県工業技術研究所様

静岡県工業技術研究所様は、静岡市に工業技術研究所(本所)、沼津市、富士市、浜松市に工業技術支援センターを配置して、県内産業界の技術支援と研究開発を行われています。長年にわたりアルモニコスの「spGate」「spGauge」「spScan」を利用されており、今年度は「spGate」のカスタマイズも行われました。本記事では照明音響科の豊田様に「spGate」のカスタマイズによる追加機能の活用状況などについてお話を伺いました。

長年にわたり3パッケージの保守を継続していただき、ありがとうございます。

豊田様:3パッケージとも研究(県単独、共同研究、受託研究など)や機器使用(開放機器)で日常的に活用しています。「spGate」はCADのネイティブファイルをCAEシステム等で使えるよう、中間ファイルへ変換するために使用しています。またデータの修正等でヒーリング機能も活用しています。「spScan」は測定点群データをポリゴン編集して企業様にお渡しする際に、「spGauge」は測定データとCADデータの検査をする際に使用しています。

アルモニコス:2024年の1月に静岡県工業技術研究所様から「ポリゴンを三角曲面化する機能」の開発をご要望いただき、「spGate」をカスタマイズしました。「インターモールド2023(東京)」にて弊社の山根に声を掛けていただいたのが始まりでしたね。

豊田様:はい、そうですね。他のベンダー様に相談する選択肢もありましたが、昔からお付き合いのあるアルモニコス様であれば様々なノウハウを持っているので何とかしてくれると思い、声をかけやすい展示会で相談させてもらいました。

うれしいお言葉ありがとうございます。「ポリゴンを三角曲面化する機能」は、どのような経緯で必要になったのでしょうか。

豊田様:静岡県内のヘッドランプ系部品を製造する企業様へのご支援と次世代の車載照明に関する研究のために、2021年から2023年にかけて、静岡県新成長戦略研究事業で路面にピクトグラムを投影する「マイクロプリズムアレイ(MPA)」の開発を進めてきました。「MPA」の開発の中で、ポリゴンデータから面を作成するモデリングの工程があります。独自に作成したプログラムにより、設計パラメーターから生成したポリゴンデータ(STLデータ)を経由してIGES形式で出力し、それをCAMに渡すために「spGate」に読み込んで手動で修正して、ソリッド化を行っていました。この修正が膨大な工数を要していたため、自動で曲面化できないか相談させていただきました。

「MPA」とはどのような技術なのでしょうか。

豊田様:「MPA」は微小な矩形プリズムを2次元アレイ状に配列した光学素子であり、これに光を通すだけで図形パターンを投影することができます。この光学素子を用いることで、路面や廊下・壁面などに図形を用いて情報を伝達する照明を、非常にコンパクトかつシンプルな装置で実現することが可能となります。設計と成形の両方に課題がありましたので、静岡県工業技術研究所ではドイツ・フラウンホーファー研究機構などの協力も得ながら、超微細光造形技術と精密電気鋳造技術を取り入れた、熱ナノインプリントによる「MPA」の成形プロセスを確立し、図形パターンの投影を実証しました。毎年3月に開催している研究発表会でその成果を公開したところ、ヘッドランプ系部品を製造する南部化成株式会社様から「MPA」の事業化に取り組みたいとの相談があり、共同研究を通して製品化にこぎつけることができました。

アルモニコス:機能開発のためにいただいたサンプルデータ(STLデータ)も微小なデータでしたね。ASCII形式の座標値で表現されていましたので、その座標値から面を自動作成できるシステムを開発しました。自動作成される面はポリゴン単位の三角面になります。面間は非共有化の状態なので、spGateの既存機能である「自動ヒーリング」を使用して面間を「共有化」し、「フェース結合」で「一面化」する流れを提案しました。三角面のままではフェース数が多く扱いにくいですが、「一面化」することでフェース数を大幅に減らし、扱いやすいモデルにできます。

豊田様:「一面化」までできることは非常に助かります。ポリゴンから三角曲面化する流れを自動化できたことで、大幅な工数削減に繋がりました。「MPA」専用の機能というわけではないので、メンテナンスや汎用性の面でもメリットがあります。

今後「MPA」はどのようなところで活用されていくのでしょうか。

豊田様:南部化成株式会社様では非球面レンズの超微細加工技術を応用し、自動車ヘッドランプ向けマイクロプリズムアレイを作製しています。路面や壁面に光を照射すると、ピクトグラムが鮮やかに投影されます。安全な交通社会実現に向けての安全注意喚起機能として充分な性能を発揮できると思います。

アルモニコス:視覚的に車の運転手や歩行者に情報を伝達できる「コミュニケーションライティング」は、今後の交通社会の安心安全に大きな貢献をもたらす可能性を秘めていますね。今後も静岡県工業技術研究所様の新しい取り組みに少しでも力になれれば幸いです。本日はありがとうございました。

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