活用例
曲面の微妙なひずみ箇所を検出したい(プレス金型メーカーB社様)
曲面の微妙なひずみ箇所をそのままにしておくと、後工程で大きな問題が発生します。そもそも曲面の微妙なひずみはなぜ発生するのでしょうか?
CADでゼロから作成したモデルの場合、よほど無理なモデリングを行わない限り、曲面のひずみが発生することはありません。しかし、見込み変形など、つながった曲面群を強制的に変形させる際に、曲面の制御点数を増加させるケースがあり、局所的に曲面のひずみを生じさせてしまいます。
曲面の不具合を検出するさまざまな方法
曲面の不具合を検出する項目は、2001年頃にJAMA/JAPIAでガイドラインが策定されました。
主な項目は以下の通りです。
- サーフェスパッチ間の折れ
- 微小サーフェスパッチ
- 近接したサーフェスパッチ
- 縮退したサーフェスパッチ
- 狭い曲面
- 曲面の自己干渉
- 曲面のねじれ
- 曲面の波打ち
- 曲面の最小曲率半径
これらのチェック項目は、曲面の不具合をさまざまな観点で検出しますが、視覚的な表現(分かりやすさ)という点では少々分かりづらいかもしれません。
ゼブラマッピング
視覚的な分かりやすさからゼブラマッピング(ゼブラシェーディング)を利用している方は多いかと思います。
もちろんゼブラマッピング表示でも曲面の微妙なひずみを確認することはできますが、適切なパラメータ設定や経験が必要になります。何よりも、ビューの回転状況により表示結果が変化しますので、問題箇所を見逃してしまうというリスクがあります。
曲率変化によるカラーマップ表示
曲面をポリゴン化し、面上点の曲率変化をカラーマップ表示すれば、ビューの回転状況による表示結果の差はありません。そのため、問題箇所の見逃しリスクは低減されます。
曲率変化を見る場合、一律に曲率分布を見る方法と、方向指定する方法があります。
モデル全体の凹凸感を把握する場合に有効です。
このように、X軸方向では検出できなかった曲面の微妙なひずみが、Y軸方向では検出されています。
モデルによっては必ずしも基本軸に平行に作成されていない場合もあります。そのため、現在のビュー水平方向で検出する方法も用意してあります。ビュー操作で、任意方向の曲率変化をカラーマップ表示することも可能です。
曲率表示はカラーマップ設定値が大切
曲面の微妙なひずみ箇所を検出するためには、さまざまな方法があります。
どの方法にも一長一短がありますが、一番重要なのは設定値です。対象となるCADモデルの大きさや面品質にあわせて、適切なパラメータを使い分けるのがポイントです。
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