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2D図面

2D/3D変換

アルモニコスは1990年代初頭に「2D図面から3Dモデルを生成する」という技術の研究開発をはじめました。1990年代中頃に「2D図面から3Dモデルを自動生成する」システム(以下、本システムとします)の商品化に至り、1999年に本システムを株式会社フォトロン様に商品名「図脳Solidナビ」としてOEM供給をはじめました。現在は、開発及び販売は中止しておりますが、技術研究は継続しており、お問い合わせも依然としていただいているので、この度ラボラトリーでご紹介いたします。

日本人の作成する2D図面はクオリティが高く、2D図面が契約書として使われることもあります。このような背景から、ものづくりにおいては3D設計が普及した状況の中でも、2D図面が今なお使用されています。

本システムの目的と利点

目的

2DCADで作成された三面図をもとに、3Dソリッドモデルを自動生成する。

利点

  • 使い慣れた2DCADシステムを継続して利用できる
  • 既存の2DCADデータを容易に3DCADシステムに利用できる
  • 従来の製図的手法での設計作業を継続することが可能である

2D/3D自動変換

手動変換

図面データから、上面図・正面図・側面図を示す図形を選択し、図面配置を行います。その後、本システムが各図面の対応点や線を自動的に検出し、ワイヤーフレームモデルを作成、さらに、サーフェスモデル、セルモデルを経て、ソリッドモデルを生成します。

自動変換

図面データに不整合箇所や矛盾がなければ、ソリッドモデルまで一気に自動変換することも可能です。

検図

図面中の不整合箇所を検出し、検図マーカーとして表示します。検図マーカーを利用して図面を修正することで、不整合を解消し、ソリッドモデルを生成できます。

複数解

本システムの中でも非常に付加価値の高い機能は、三面図から導き出せる解が複数あった場合に、その複数解すべてを解として算出できることです。
算出された複数解の中からユーザーが適切なものを選択することによって、正しい3Dモデルを作成できます。複数解を算出する様子については以下の動画をご覧ください。

図面の記述方法によっては、図面の線から推定されるソリッドモデルが複数解となる場合があります。このような場合には、候補となるソリッドモデルが順に表示され、その中から相応しいものを選択できます。

セルモデルによる解の絞り込み

ソリッドモデルが複数解となる場合、その前段階のセルモデルに対して拘束条件を設定することで、解を絞り込むことができます。動画では、2箇所のセルに「使用しない」という拘束条件を与えることで、得られるソリッドモデルを1つに絞り込むことができました。この他にも、線種を使用することで解を絞り込むこともできます。

本システム販売後に、お客様から様々なことを勉強させていただきました。以下、その課題を整理してご紹介します。

2D/3D変換の難しさ

2D図面の情報が3D変換に適していない場合が多々ある。

  • 図面間での製図の間違い
  • 図面データの不整合
  • 隠れ線等の省略
  • ぼかし面などのあいまいな記述

各社の慣習や規則によって製図表現に違いがある。

  • 注記・シンボルなどの使い方
  • 製品ごとの形状・製法に合わせた書き方

今後、日本の製造業において設計段階における2D図面と3Dモデルの共存はしばらく続くと思われます。アルモニコスでは、これからも2D図面を扱う技術、3Dモデルを扱う技術の両方の技術を研究開発していきます。本技術において、何か進展がありましたら、またラボラトリーでご紹介させていただきます。

研究担当

2D/3D変換

A-Pro事業部 プロジェクトスーパーバイザー 中村収一

1991年、(株)アルモニコス入社。

主に受託系システム開発を多数経験の他、撮測3Dの開発にも参加。

趣味はランニング。47歳から走り始め、ハーフマラソン8回、フルマラソン1回完走。正しいフォームで練習を積めば、50代でも記録が伸ばせると信じ、憧れのサブ4を目標に、トレーニングに励む。

2D/3D変換

※所属・肩書は記事掲載時のものであり、現在とは異なる場合があります。