点群・ポリゴン処理 地形データ活用 ドローン
航空測量からの地形データ活用方法 1 ~計測密度が高いデータからの地形データ復元~
土木や建築業界において、レーザースキャナーを活用した航空計測の事例が続々と発表されています。
安価な無人航空機(UAV)*1が販売され始め、ドローン計測が普通になりつつあります。しかし、計測データを活用する後処理ソフトウェアの技術開発が追いついていないのが現状です。
山間部開発においては、地形や地質など、その土地の特性を考慮し、土量計算・ルート選定・土砂対策・安全性の検討を行う必要があります。そのため、まず山の正確な地形データを取得することが、第一の課題となります。
本研究では、航空計測したデータから地形を抽出するという課題に取り組みました。航空計測における問題の1つに、樹木や下草に覆われて正確な地形情報が取得できないという点があります。計測データのほとんどが樹木のデータであり、地表まで到達したごくわずかなデータから地形を想定抽出するというアルゴリズムの研究です。
データパターンは、計測密度が高いもの(測点間隔が狭い)と計測密度が低いもの(測定間隔が広い)の2種類です。今回はその1として、計測密度が高いデータを使用した成果をご報告します。計測密度が低いデータに対しては、現在、補間アルゴリズムを複数トライ中です。こちらはその2として報告予定です。
*1 無人航空機(むじんこうくうき、英: Unmanned aerial vehicle, UAV)は、人が搭乗しない(無人機である)航空機のこと。通称として、短くドローン(英: drone)と呼ばれることもある。
「無人航空機」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』
2019年7月3日 (水) 08:40 UTC、URL: https://ja.wikipedia.org
処理フロー
計測データ(元データ)
山一面が樹木で覆われています。
陰影(日影、日向)があることで、色情報での区別は難しくなっています。
1. ボクセルを使って地形データ抽出
アルモニコス製品「spGauge」上で、研究開発しています。
計測データから自動処理で樹木等の高さを取り除いた(フィルタリング)地形データです。
フィルタリング過程で、残存したノイズや、部分的に計測密度が低い箇所が認識されました。
2. 地形データの補間とノイズ除去
計測密度が低い箇所に対して、周辺の情報を利用し、不足なデータの補間やノイズの除去などを行います(手法の詳細は省略) 。 これにより、データの粗密が解消します。
3. ポリゴンメッシュ化
アルモニコス製品「spGauge」内機能によるポリゴン化
標高カラーマップ
上図は元データ(樹木あり)と加工データ(樹木無し)を標高カラーマップで比較しました。地形データが滑らかに傾斜している事が確認できます。
下図は元計測データとの比較検証です。樹木が取れたことが分かります。
関連製品
製品検査システム spGauge
大規模点群モデル化システム ClassNK-PEERLESS
研究担当
AXION事業部 穆凱圓
修士論文は「Isogeometric analysis of shell models with accurate curvatures represented by B-spline surfaces」。
入社以来、点群、ポリゴンメッシュ、曲線・曲面関連の仕事に従事。アルモニコス製検査ソフトspGaugeの開発を中心として活躍。2018年からは同社製リバースソフトspScanの開発を新しい舞台に。
※所属・肩書は記事掲載時のものであり、現在とは異なる場合があります。