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ClassNK-PEERLESSに必要なPCスペックについて
ClassNK-PEERLESSを使うために使用するPCの推奨環境はこちらですが、一つ一つの項目がどのようにソフトの動作に作用しているのか疑問に感じたことはありませんか?
「〜以上」という表記が多いけれど、スペックを上げれば上げるほどソフトが使いやすくなるのか?
すべて環境を満たしていないと動かないのか?
など、マシン選定の際に迷われることがあるかと思います。
この記事では、そのようなマニアックなところまで気になる方向けに、ClassNK-PEERLESSに必要なPCスペックについて解説していきます。付随して、パソコン用語についても説明を記載しますが、あくまでも簡易的な説明になりますので詳細はメーカーや販売店の解説ページをご覧ください。
目次
CPU
まず、CPUとは?
Central Processing Unit の略で、PCの頭脳ともいわれる、データの制御・演算を行う部品です。
CPUの性能が高いほどデータ処理速度が速くなります。
その性能は以下の数字で表されています。
- コア数
- CPU内蔵のプロセッサー(コア)数のことで、処理作業を同時に行うことができる数です。
- スレッド数
- 同時に処理できる作業の数です。コア数と似ているイメージですが、コア数が作業者だとしたらスレッド数は作業者が使う作業場です。作業者が何人いても作業場が1つだけだと作業が遅くなりますが、作業場がいくつもあれば速くなります。作業者が1人でも、いくつもの作業場を使い分けることで効率的に作業できるというイメージです。
- クロック数
- クロック周波数/動作周波数ともいわれ、「Hz(ヘルツ)」という単位で表されます。CPUが処理を行う際に発する信号を扱う速さのことで、これが高いとCPUのパフォーマンスが良くなります。
ClassNK-PEERLESSで要求されるスペックは?
推奨環境では下記のようになっております。
CPU | Intel Core i7 以上推奨 |
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Intel Core i7は高性能なCPUの部類に入りますので、一般的なワークステーションPCであればほぼ条件を満たしているでしょう。ただ、同じi7でも世代によって上記で説明した性能が変わりますので、少しご紹介します。
第7世代 | 4コア8スレッド |
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第8世代 | 6コア12スレッド |
第9世代 | 8コア8スレッド |
第10世代 | 8コア16スレッド |
第11世代 | 8コア16スレッド |
第12世代 | 12コア20スレッド |
第13世代 | 16コア24スレッド |
第14世代 | 20コア28スレッド |
このように世代によってコア数・スレッド数が変わります。
また、コア数の中でも、Pコアと呼ばれる高性能コア、Eコアと呼ばれる高効率コアの構成も違ってきます。
しかし、どこまで性能を上げれば最高の状態でPEERLESSを使えるのか、逆にどこまで下げても大丈夫なのか、に関しては明確なボーダーは検証できていません。
参考にしていただくとすれば、弊社のPEERLESSオペレーター達が使っているCPUはi7の第11世代か第12世代で、ほぼ2.50GHzのクロック数なので、それを基準に検討されると良いかと思います。
同じスペックであれば、PEERLESSの開発時に想定している標準的な操作感で使用することができますし、それより高いスペックであればさらに快適に使っていただけるでしょう。
ただ、最新世代の最高スペックを用意すれば格段に向上するかと言われれば、その性能をソフトが使いきれない場合もあるのでグレーなところです。あとは予算と相談しながら、弊社使用PCを基準に決めてみてください。
CPUは演算処理の部分を担っているので、PEERLESSでの操作全体に影響するものです。特に配管/平面の自動認識機能や経路探索機能など、他の機能に比べて明らかに計算時間が長い(難しいことをしている)機能を使う際に性能が顕著に現れます。そのため、なるべく自動処理機能を使いたいという要望がある場合は、CPUのスペックにこだわると良いかもしれません。
メモリ
まず、メモリとは?
RAM (Random Access Memory) のことで、パソコンの中でデータを記憶しておく部品です。データを長期間保存するストレージとは別物で、データ処理作業中の一時的な記録場所のようなイメージです。メモリの容量が大きいと、CPUの処理も効率的に行うことができます。
ClassNK-PEERLESSで要求されるスペックは?
推奨環境では下記のようになっております。
メモリ | 32GB以上推奨 |
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メモリ容量が違うと、PEERLESSの作業にどう影響するかというと、特に顕著なのは一度にモデリングできる点群の数です。PEERLESSでは、メモリ容量によって扱える点群数を制限しています。そのため、32GBでは扱えない点群数も、48GBや64GBだと可能になることがあります。
大規模な点群(敷地の広い工場やプラント)をモデリング対象とする際は、点群数が増えるため64GB以上のメモリを推奨します。
メモリを増やせば増やすほど劇的にPEERLESSの作業が改善するかというと、CPU同様そうでもありません。小規模点群しか扱わないのに64GBを選ぶなど、費用対効果を考えるとグレーになることもあります。多少は変わることもありますが、予算と扱う点群の規模と相談してメモリスペックを決めていただくのが一番良いかと思います。
ハードディスク
まず、ハードディスクとは?
パソコンに内蔵されているストレージのことです。メモリが一時的にデータ保存するのに対して、ハードディスクは長期的に保存します。また、内蔵ストレージはHDD (Hard Disk Drive) とSSD (Solid State Drive)に大きく分けられます。
部品からして別物になり、データの読み書きをする時の動作も違いますが、データ保存という観点で考えた時にどのような特徴があるのか簡単にご説明します。
- HDDの特徴
- 1ドライブで大容量のデータを保存できる
- 安価
- 読み書きのスピードが遅い
- バッテリー消費が早い(消費電力が大きい)
- 物理的な衝撃に弱い
- SSDの特徴
- 高価
- 高速で読み書きができる
- 小さくて軽い
- 熱などに弱い
ClassNK-PEERLESSで要求されるスペックは?
推奨環境では下記のようになっております。
ハードディスク | 空き容量50GB以上推奨 SSD推奨 |
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SSDを使用することを推奨しています。理由は読み書きのスピードです。
ハードディスクがPEERLESSの使用に影響する場面は、データの読み込み・書き出しのみです。特に、点群データのインポート時間にストレスを感じ、速くしたいと考えている場合は、必ずSSDを使用してください。HDDとSSDの違いは明確に出ます。
また、もしメモリが足りなくなってSWAP領域(仮想メモリ)が必要になった場合、HDDを使用していると処理に長時間かかるようになってしまいます。
HDDでも使えないことはないですが、ストレスを感じずにPEERLESSを使いたい場合はSSDを強くオススメします。
グラフィックボード
まず、グラフィックボードとは?
グラフィックボード(別名:ビデオカードなど)とは、画像や映像を入出力するための部品のことです。3Dグラフィックスや微細な画像・動画などの処理を司っており、GPU (Graphics Processing Unit) やビデオメモリ、冷却ファン、出力端子などで構成されています。
ClassNK-PEERLESSで要求されるスペックは?
推奨環境では下記のようになっております。
グラフィックボード | OpenGL対応グラフィックボード 推奨:NVIDIA Quadro、RTX同等以上 |
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「OpenGL」とは?
OpenGL (Open Graphics Library) とは、ソフトウェアインターフェース(API:Application Programming Interface)の一つです。APIはソフトウェアやプログラムを繋ぐインターフェース(接続口)のことで、プログラミングすることで利用できます。OpenGLを利用することで、高度な3DCG関連の演算機能を呼び出すことができます。他によく利用される3DCG関連のAPIとしてDirect Xが挙げられます。
まず、PEERLESSでは点群や形状を3Dで表示・操作するため、CPU内蔵GPUでは現実的に処理しきれません。
そのため、グラフィックボードはOpenGL対応である必要があります。これは、PEERLESSの表示処理でOpenGLをインターフェースとして使用しているためです。
OpenGL対応のグラフィックボードは、一般(ゲーム)用と業務用に分けられます。PEERLESSでは、業務用のOpenGL対応のグラフィックボード(NVIDIA RTX/Quadroシリーズと同等以上)を推奨しています。例えば、GeForce シリーズは同じNVIDIA製品ですが、ゲーミングPC等の一般的な高スペックPC向けなので、業務で3D形状処理や点群処理を行う場合は推奨しません。
ここまで満たしていれば、PEERLESSでの表示処理を快適に行っていただけますが、さらに快適さを追求する場合はグラフィックスプロセッサやビデオメモリの数字も気にしてみてください。
ただ、前述したCPUやメモリの影響ほど顕著に違いは出てきません。
どれだけスペックを上げれば最高の状態になるのか、どこまでスペックを下げたら不便さを感じるのか、という明確なラインについては、弊社はPCメーカーではないので検証できていません。
参考までに、次のトピックで弊社でPEERLESSでの作業に使用しているPCのスペックをご覧ください。
参考:弊社で使用しているPC
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