2D図面 DXF
DXF寸法を汎用3D CADの3D注記へ
アルモニコス製の製品検査ソフト spGauge は、設計データ(3D CADモデル)と検査対象物(3Dスキャナで計測した非接触測定点群)の誤差をチェックし、自動検査を実現しています。さらに2D図面(DXFファイル)を読み込み、図面内に記載された寸法や公差情報を3D CADモデルに付加し、その寸法値および公差情報を自動検査で使用する機能も搭載しています。
- 製造工程内の検査部署(特に試作品)に渡される3D CADモデルに検査用寸法が付加されていない
- 検査用寸法は2D図面(3D CADモデルとは別データ)内で指示される。社外に製造を委託している場合、その2D図面が契約書代わりになっている
上記のような背景もあり、「2D図面データの読み込み、および3D CADモデルへの寸法植え付け」という機能を検査現場で利用していただいています。
spGauge内ではGD&Tという機能で、自動寸法植え付けを実現しています。
同様の機能を、汎用3D CADで実現できるか、検証してみました。
今回、対象にしたCADシステムは、Inventor※です。
※Inventorは、Autodesk社が提供する主に機械設計向けの3D CADソフトウェアです。
処理フロー
① DXF取り込み | 既存機能 |
② ビューのセグメンテーション | アドインプログラム:手動 |
③ 3Dモデルとの位置合わせ | 固定 |
④ 3D注記の作成 | アドインプログラム:自動 |
① DXF取り込み
Inventor既存メニュー:DXFを開く

② ビューのセグメンテーション
アドインメニューを実行し、寸法と実線エッジを専用スケッチにコピーする
その後、手動でビューを定義する(セグメンテーション=図面要素を正面図、上面図、側面図などに分離)
※断面図対応なし

③ 3Dモデルとの位置合わせ
Inventor既存メニュー:パートファイルを開く
※正面図が、XY平面、Z+方向の場合に限定

④ 3D注記の作成
図面をアクティブにしてアドインメニューを実行すると、3D注記が作成される
※幾何公差対応なし

Inventorの既存機能で3D注記を自動作成をする場合は、以下の手順となります。
① 3D注記の配置位置にスケッチを作成
② スケッチにDXFを取り込み
③ 手動で寸法を選択し、3Dモデルの位置に移動
④ 既存の配置機能を実行すると3D注記を自動作成
しかし、現時点ではスケッチへのDXF取り込み時に、寸法の認識精度が十分でないようです。
今回、Inventorの図面としてDXFを開き、手動でビューのセグメンテーション後、正面図方向を固定ではありますが、3D注記を自動作成するアドインプログラムを作成いたしました。
2D寸法から3D注記の埋め込み位置を検索するロジックは、spGaugeのGD&T機能と同様のロジックを使用しています。
NX上で実現するならば、弊社のDXFライブラリを組み込み、GD&Tの認識をする必要があります。現時点ではこの点について未対応ではありますが、十分、実現可能です。
アルモニコスのDXF取り込みライブラリ
寸法は勿論、幾何公差の認識も可能です。
※寸法は寸法Entityとして作成されていること
※幾何公差はブロック化されていること
現状時点では、弊社フレームワーク上でのライブラリとなっていますが、今後、フレームワークからの切り離しも実現可能です。
spGaugeGD&TとInventorアドインとの比較
spGaugeのGD&T機能の動画です。
Inventorアドインで、図面寸法から3D注記を自動配置する機能を実現した動画です。
製造業において3D設計が普及した昨今、検査部署まで一気通貫で、その3Dモデルを積極的に利用すべきだという考え方が根付いてきています。
しかし、金型製作や試作品作成を外注している企業では、外注先に形状保証を依頼する際、契約書代わりに2D図面を使用するケースが多く見られます。つまり、3Dモデルと2D図面の混在型です。
アルモニコスは、こうした現場の実情に対応し、混在型の環境を支援する取り組みを進めています。今後も、2D図面の利活用を含め、継続的に研究開発を行ってまいります。
研究担当
AXION事業部 遠藤純子
2021年4月にコロナ禍の在宅勤務普及に乗じてアルモニコスに復職。spGauge開発と受託開発を担当。
家では双子の娘達と日々奮闘中。写真は23年5月の連休に家族旅行で奈良へ行き東大寺二月堂にて撮影。趣味は仕事、音楽鑑賞、楽器演奏、読書(特に漫画)、旅行、散歩。子供とアンサンブルをするのが好きだが、徐々に嫌がられつつある。最近は漫画サイトでの課金が止まらないのが悩み。
AXION事業部 黒田真優
2022年、(株)アルモニコス入社。入社後はClassNK-PEERLESSの技術営業に従事し、現在はspScanの技術営業を担当。
趣味はゲームと映画鑑賞。よく観る映画のジャンルはアクションやホラー。特にここ数年は気になるホラー映画がたくさん公開されていて追いつけていないので、サブスクを活用して少しずつでも消化していこうと計画中。写真にも興味があり、家族が購入してそのまま放置されているミラーレス一眼カメラがあるので活用を検討中。
※所属・肩書は記事掲載時のものであり、現在とは異なる場合があります。