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点群・ポリゴン処理 地形データ活用

トンネル点群データの解析

アルモニコスでは、中距離スキャナで取得した点群から、建築構造物をCADデータとしてモデリングするソフトウェア「ClassNK-PEERLESS」を開発・販売しています。
現在、土木・建設業界向けに、道路、橋脚、トンネルなどの交通基盤構造物をCADモデリングできるように研究・開発を進めています。
今回は、静岡県が計測した公開データを利用し、実際のトンネルの点群データを用いて以下の処理を行いました。

1. トンネルの中心線作成
2. 中心線の法断面でトンネル壁面の切断線作成
3. 各線群の曲率、傾斜、実長分析
4. 中心線に対するクロソイド曲線のあてはめ

一連処理の動画はこちらです。

それぞれのデータについて、以下に記載します。

元データ

出典:
https://www.geospatial.jp/ckan/dataset/virtual-shizuoka-mw/resource/bbee8087-ba64-4e11-b6cb-ef7b00f66113?inner_span=True

南側
北側

点群、三角形メッシュ

① ダウンロードしたLASデータを ClassNK-PEERLESS に取り込み、ASC点群を出力。点群は23,811,004点
② 点群を spGauge にスケーリング(0.001倍)でインポート
③ 不要点群の手動除去および間引き処理
④ 全頂点利用の三角形メッシュ化
⑤ 全三角形メッシュの法線(表裏)をトンネル内向きに修正
⑥ スパイク形状を手修正

最終的に計算対象とした三角形メッシュは、
三角形: 1,112,754 個
頂点 : 563,063 個

中心線

0.2mピッチで断面を作成し、バウンディングボックスの中心点を連ねたもの。
折れ線:558点
長さ :147.4m

カーブの曲率半径

中心線の、前後合わせて約80点(=16mくらいの範囲)で円弧をフィットした。
目測では、カーブの一番きついところは350~400mになると思われる。
※何点使うかで結果が大きく左右される。

坂の具合

先頭と末尾の断面の距離:146, Zの差-10.41 => -4.1deg の傾斜
トンネルを横から見てなるべく長くなる方向からみた状態。黄色い線は水平線。

断面

サイズ:水平方向 9.80m、垂直方向 6.28m
道路幅:6.90m
天井の円弧の半径:4.9m

路面の断面内の傾斜

2mピッチの断面の路面の傾斜のプロット。歩道上の点を含んでしまうことがあり、その影響で荒れている。
グラフの色は上の画像の路面の線の色に対応している。
最大のバンクは1.1degほど。
左側はカーブが終わっても傾斜を維持している。
右側はカーブが終わったあと外側に向けて傾斜をつけている。

参考:道路構造令による排水のための横断面勾配
1.5~2.0% = 0.85deg~1.14deg
(出典:https://laws.e-gov.go.jp/law/345CO0000000320#Mp-At_24

クロソイド曲線のあてはめ

クロソイド曲線式

折れ線でできた中心線に対して、クロソイド曲線をあてはめてみました。
マゼンタの線がクロソイド曲線です。
まだまだ手作業のあてはめになっており、自動近似は研究中です。

今後の展開

道路、橋、トンネルなどを3Dスキャナで計測し、検査分析やCADモデル化がどこまで可能かを研究していく予定です。
また、実業務で作業をされている方々が使用する規制や数式も考慮した研究を行い、業界の皆様に少しでも役立つ成果を提供できるよう日々精進してまいります。

研究担当

トンネル点群データの解析

AXION事業部 事業部長 野口勇

2000年、(株)アルモニコス入社。

アルモニコス製パッケージソフトのspGauge、spScanの開発に従事。

現在は受託開発を軸に、三角形メッシュ関連の仕事にも携わっている。

趣味は、読書、ハーフマラソンとトレイルランニング。

トンネル点群データの解析

AXION事業部 高橋華乃子

2023年、(株)アルモニコスに入社。

spScan 開発チームに所属し、GUI 周りやポリゴン関係の業務に従事。

趣味は料理。最近は手ごねパンがマイブームで、よく休日に作っている。

レパートリーを増やすため、オーブンの購入を検討中。