活用例
目的に応じたリバース手法で工数を大幅削減 -株式会社ワード技研様
株式会社ワード技研様は、自動車のプレス部品の金型および部品の設計、3Dリバースエンジニアリングの受託業務をされています。
今回はspScanを活用したリバースエンジニアリングの一例をご紹介いただきました。
会社紹介
株式会社ワード技研は、1987年創業以来、大手自動車メーカー様の自動車ボディーのプレス金型設計を行い、多くの新車開発に携わっています。
創業当時は、2次元設計がメインでしたが、2000年より3次元設計を始め、現在では3次元設計をメインに金型設計を行っています。プレス成形シミュレーションを導入し、金型設計の初期段階であるサイマルテニアス・エンジニアリング (*1) を行うことが可能になり、金型設計の技術力の向上、納期短縮、品質向上を実現し、大手自動車メーカー様からも大変信頼されています。
また、2014年よりリバースエンジニアリング事業にも着手し、プレス金型のハンドワーク部を金型非接触測定データより金型CADデータに反映させる業務も開始しています。
今後もお客様から信頼される技術者集団を目指し、常にチャレンジ精神で挑み、価値ある技術を創成し、世の中に貢献していきたいと考えています。
*1 [simultaneous engineering]同時並行開発の意。研究開発・設計・製造・販売・管理などの各部門が連携して、製品づくりを行う方法。
spScanを選定した理由
ポリゴンデータからCADデータを作成するリバースソフトを調査したとき、幾つかのシステムが見つかりました。それらを検証する際、測定データからCADデータを作成するとき「元のCADデータに近い面構成にリバースする」ことが必要だと考え、そのうえで「ポリゴンの曲率を参考に、基本面とフィレット面を簡単に抽出できる」ことを重視しました。
リバースデータ作成時には、ポリゴンデータと曲面との距離トレランスの指定が必要です。spScanは指定した距離トレランス内での曲面作成が可能で、曲面作成後に制御点(曲面の構成点)の修正作業などをする必要も無く、簡単な操作で曲面を作成できました。このことからspScanがリバースエンジニアリングに特化したシステムであることが確認できたため、導入を決定しました。
spScanの活用事例
アルミダイカスト部品(全体形状のリバース手法を適用)
リバース例の1と2は、自動車のアルミダイカスト部品の非接触測定データ(ポリゴンデータ)からspScanでCADデータを作成したものです。アルミダイカスト部品は形状が複雑であるため、「CADデータの作成時間をいかに短縮するか」がこれまでの課題でした。
作成時間を短縮するためには、製品の曲率から面構成を短時間で認識し、簡単に境界線を作成することが必要でした。spScanには曲率から面構成線を素早く抽出する機能があり、この機能を活用することによりCADデータの作成時間を短縮できました。
プレス金型(誤差部だけの部分的なリバース手法を適用)
トライアル現場では、ハンドワークによりプレス金型形状を修正されることがあります。このハンドワークされた形状を、元の金型CADデータに反映することが必要です。これにはspScanの部分リバース機能を適用しています。
部分リバースは、ハンドワーク後のプレス金型形状の非接触測定データ(ポリゴンデータ)から、元の金型CADデータとの誤差を確認し、誤差がある部位のみのポリゴン形状をCADデータ化します。元の金型CADの周辺形状との連続性設定と、ポリゴンデータとの距離トレランス指定により、周辺形状との連続性を保った曲面を作成できました。また全体形状ではなく誤差部だけのリバースができるので、リバース工数の大幅な削減が可能になりました。
プレス金型のリバースではプレス金型特有の形状要件があるため、測定ポリゴンデータ通りのCADデータ作成では、プレス成形に適さない場合もあります。これを弊社では、長年のプレス金型設計経験から培ったノウハウで解決してきました。さらにspScanを導入したことで、多彩な曲面作成機能に弊社のノウハウを反映したリバースも可能になりました。
ゴルフクラブ(自由曲面形状)
リバース例3はゴルフヘッドの非接触測定データ(ポリゴンデータ)から、spScanで自由曲面形状のCADデータを作成したものです。CAEソフトでも読み込みができ、実際の形状と同等のデータでの強度解析などが可能になりました。
spScanへの要望
spScanはリバースエンジニアリングに特化したシステムですが、以下に挙げる機能の操作性改良や、面品質の強化をお願いしたいです。
1. 曲面の連続性
2. ポリゴンデータから面境界に境界線を作成する機能の操作性
3. 複数曲面作成の各種機能
以上、ワード技研様よりご紹介いただきました。
ご要望の「曲面の品質向上」「自動化」につきましては、重要な開発テーマとして取り組んでいます。皆さまのご要望を反映した開発をしていきたいと考えていますので、今後とも忌憚ないご意見・ご要望をいただけますようよろしくお願いいたします。
この度はご多用中にもかかわらずご寄稿いただき、本当にありがとうございました。
株式会社ワード技研 様
〒252-0216 神奈川県相模原市中央区清新8丁目18番9号
TEL: 042-775-7810 FAX: 042-775-2010
技術営業担当: 竹内 穣氏
E-mail: takeuchi@word-g.com
https://word-g.com/
tag : ユーザー事例 測定・リバースサービス