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自動化による生産性向上

ボタン一発で寸法を自動作成

3DCADで作成した展開図に対して、各種寸法を自動で作成します。
アセンブリデータを使用した場合は、隣接部品の形状を利用して寸法公差も自動で作成します。

背景と課題

本システムは、市販の3DCADを利用して金型を設計しているお客様からご相談を受けて開発したシステムです。システム開発当時、お客様には以下のような課題やご要望がありました。

  • 社外のパートナーに加工を依頼するため、全ての金型部品に対して図面を作成する必要があるが、部品点数が200~300あるため、図面作成に非常に多くの工数が掛かっていた(1枚の図面作成に少なくとも数十分が掛かる)
  • 寸法を記入する作業は、正確さは必要だがスキルを要する作業ではないため、設計者の工数を他の付加価値のある作業に使いたい
  • 寸法公差の記入間違いや寸法の記入漏れによる手戻りが発生していた

開発のポイント・アプローチ方法

一般に、図面寸法の自動作成は難しい課題です。その理由は、作成された寸法の良し悪しの判断が、「見やすさ」という人間の曖昧な感覚に依存するためです。
出力する寸法の種類と寸法値はシステムで正解を求めることができますが、システムで人間が期待する位置に寸法を自動で出力することは難しいのが現実です。

寸法出力の自動化には上記の様な課題があるため、本システムの開発では以下のようなアプローチを取りました。

  • 展開された図面に必要な寸法はシステムにて求めるが、システムが全ての寸法を適切な位置に作成することは難しいため、自動作成後に寸法の位置を人間が調整する運用とする
  • 寸法の調整作業を効率よくできるようにするため、寸法編集用のツールを別途用意する
  • 寸法の出力位置は人間が最終的に調整を行うため、出力位置を算出するロジックはシンプルなロジックを適用して開発費用を抑える
  • 現在使用している3DCAD(本ケースの場合はSiemens社のNX)に専用機能をアドオンし、標準機能で作成する寸法と同じ寸法を自動作成する。これにより、システムが作成した寸法をそのまま利用して調整できるようにする

また、アセンブリデータを利用した場合はより高い効果が得られるように、以下のような仕様を採用しました。

  • アセンブリに含まれる全部品の図面を一括で自動作成する
  • 隣接する部品の形状を認識し、社内ルールに従って寸法公差を自動で出力する

導入効果

システム導入によって得られた効果は以下のとおりです。

  • 寸法作成処理の自動化、および編集作業の効率化により、図面作成工数が大幅に削減された
  • システムから正しい寸法公差が自動で作成できるようになり手戻りが無くなった
  • システムが作成した寸法は位置の調整が必要だが、調整は経験が無い設計者やオペレータでも対応できるようになった
  • 設計者が寸法作成作業から開放され、より付加価値の高い作業に専念できるようになった